売却理由を明確化する

売却理由を明確化する



家の査定を依頼する際、そして内覧にお客様がいらっしゃった際、必ず聞かれるのが「なぜこの家を売却するのですか?」という理由です。長年住み慣れた家を手放すわけですから、その背景には様々な思いや事情があるはずです。不動産会社の担当者も、購入を検討しているお客様も、売却理由を知りたいと思うのは当然のことでしょう。

売却理由は一つとは限らず、複合的な要因が絡み合っていることも少なくありません。しかし、それらを丁寧に整理し、明確な言葉で説明できるように準備しておくことが、スムーズな売却活動を進める上で非常に重要になります。

私自身、家を売却した際には、以下のように売却理由を整理してみました。

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この地域は子育て世代にとって魅力的な環境でした。小学校・中学校への通学路には遊歩道があり、近隣には多くの公園があって、子供たちは友達と安心して遊ぶことができ、生活しやすい場所でした。

交通の便も比較的良く、私鉄の駅までは徒歩4分でしたが、JRの駅までは自転車で15分ほどかかりました。子供たちが高校生になると、通学が少し負担になるようになりました。

入居から14年が経ち、小学生と幼稚園に通っていた子供たちは大学生となり、この地域で暮らすメリットが以前ほど大きくなくなってきました。

娘が遠方の大学に進学し、妻の実家から通学することになりました。その後、次男も大学に進学し、子供たち2人と妻は妻の実家を生活の拠点とするようになり、私一人が自宅で過ごす時間が長くなりました。

次男が大学2年生になり、通うキャンパスは近くなりましたが、妻の両親も高齢であるため、自宅に戻ってくることは難しいと判断し、売却を決断しました。

その後、妻の実家の近くに、私たちのニーズに合う二世帯住宅が見つかったため、その物件を購入し、転居しました。

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これは、私が不動産会社や購入希望者の方に説明するためにまとめた、いわば「表向きの理由」です。新築時に、将来的な家族構成の変化にもある程度対応できるように間取りを工夫しましたが、家は簡単に移動させることはできません。

将来的には親との同居も考えていましたが、最初の家を建てる段階では、完全な二世帯住宅の仕様にはできませんでした。また、妻の実家とは30キロ以上離れているため、この家で同居するのは現実的ではありませんでした。

家族の年齢やライフステージが変わると、住みたい場所、便利な場所、優先する事柄も変化していきます。購入時の理由でも触れていますが、当時はその家族構成にとって最良の選択であったことを強調しつつ、家族のライフスタイルの変化を売却の主な理由として説明しました。

もし、売却の本当の理由が住宅ローンの返済が困難であるといった金銭的なものである場合でも、そのまま伝えるのではなく、前向きな住み替えであることを強調した理由をしっかりと準備しておくことが大切です。マイナスの印象を与えることなく、スムーズな売却に繋げるための工夫と言えるでしょう。

売却理由を明確にすることのメリット

売却理由を明確にすることは、以下のようなメリットをもたらします。

不動産会社との信頼関係構築:
明確な売却理由を伝えることで、不動産会社はあなたの状況を理解し、より適切な販売戦略を立てやすくなります。

購入希望者への安心感の提供:
購入希望者は、売却理由を知ることで、物件に対する安心感や納得感を得やすくなります。特に、ネガティブな理由でないことを伝えることは重要です。

スムーズな交渉の実現:
売却理由を明確にすることで、価格交渉などにおいても、一貫性のある対応をすることができます。

自身の気持ちの整理:
売却理由を整理する過程で、家に対する思いや次の住まいへの希望などが明確になり、前向きな気持ちで売却活動に取り組むことができます。


売却理由は、単なる質問への回答ではなく、あなたの家をより魅力的に伝え、スムーズな売却を実現するための重要な要素となるのです。

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