点検状況や修理・メンテナンスの履歴

点検状況や修理・メンテナンスの履歴



家の査定を依頼するにあたり、築年数が10年を超える物件であれば、これまでの点検状況や修理・メンテナンスの履歴を整理しておくことは、査定額を左右する重要な要素となります。

特に、長期優良住宅の認定を受けている場合は、5年ごとの定期点検記録の保管が義務付けられています。しかし、それ以外の建物であっても、中古住宅の購入を検討するお客様は、建物の維持管理状況を非常に気にされるものです。将来的に発生する可能性のあるメンテナンス費用は、購入判断における大きなポイントとなるでしょう。

私が実際に自宅を売却した際には、売り出しを開始する前に、専門業者に外部と内部の点検を依頼し、将来的に必要となる可能性のあるリフォーム費用の概算を出してもらいました。

以下は、築14年の私の物件のメンテナンス状況と点検結果の概要です。

外部:
外部塗装:未実施(表面塗装の劣化進行)
屋根塗装:未実施(平瓦のため、鉄部のみメンテナンス推奨)
バルコニー防水:実施済み(20年目まで保証あり)
防蟻工事:未実施(現況、特に問題なし)

内部設備:
給湯器:昨年交換済み
エアコン:マルチエアコン室外機修理済み
浴室:簡易リフォーム済み(水栓金具・換気扇は交換時期)
キッチン:食洗機故障
インターホン:交換時期
シャッター:オーバーホールの推奨時期
フローリング:フロアマニキュア実施済み

これらの点検結果を踏まえ、リフォームやメンテナンスを実施した項目、そして今後必要となる可能性のある費用について、買主の方に明確に説明できる状態にしておきました。

もちろん、これらの情報が開示されることで、交渉によっては値引きを求められる可能性もあります。しかし、物件の状態を曖昧にするよりも、正直に伝える方が、買主の方にとっては安心感につながります。

設備機器や内外装の状態は、査定金額や売り出し価格に直接的な影響を与え、最終的な成約金額の交渉においても大きなウェイトを占める部分です。査定前に完璧な準備が難しくても、売り出しを開始するまでには、これらの情報を整理しておくことを強くお勧めします。

設備機器と内装の重要性:購入希望者の心理

中古住宅の購入を検討する方は、新築物件にはない「価格の手頃さ」に魅力を感じる一方で、「将来的な修繕費用」に対して不安を抱いているものです。特に、水回り設備(キッチン、浴室、トイレなど)や給湯器、エアコンといった主要な設備機器の状況は、日常生活に直結するため、非常に注目されます。

これらの設備が古かったり、故障している場合は、「購入後すぐに交換費用がかかるのではないか」という懸念を生み、購入意欲を大きく低下させる可能性があります。反対に、交換履歴やメンテナンス状況が明確に示されていれば、購入希望者は安心して検討を進めることができます。

また、内装の状態も同様に重要です。壁紙の汚れ、床の傷み、建具の不具合などは、生活感を感じさせるだけでなく、「きちんと手入れされていなかったのではないか」という印象を与えかねません。簡易的なクリーニングや補修を行うだけでも、物件の印象は大きく向上します。

査定前にできること:具体的な準備

過去の記録の確認:
住宅の保証書、設備機器の取扱説明書、点検記録、修理履歴などを探し出し、整理します。

設備の動作確認:
給湯器、エアコン、換気扇、食洗機など、家中の設備機器が正常に動作するか確認します。不具合があれば、可能な範囲で修理を検討しましょう。
内外装のチェック: 壁や床の傷み、水漏れの跡、建具の不具合などを確認し、簡単な清掃や補修を行います。
専門家による点検の検討:
必要に応じて、ホームインスペクション(住宅診断)を依頼し、専門家による客観的な建物状況の評価を得ることも有効です。

これらの準備を行うことで、査定時に物件のプラスポイントをしっかりとアピールでき、マイナスポイントについても正直に伝えることで、購入希望者との信頼関係を築き、スムーズな売却へと繋げることができるでしょう。

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